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2025.5.16
第16回(2025年4月27日)開催報告
前回(4月20日)から、朝のミーティングで全国の夜間中学の校歌を聴く時間を設けました。前回は遠友夜学校(新渡戸稲造が明治時代に札幌に作った民間の学校)の校歌(しっとりバージョンとロックバージョン)、27日は徳島県立しらさぎ中学校校歌を聴きました。今後は、聴くだけでなく、一緒に歌うことも計画していきます。徳島県立しらさぎ中学校は、令和3年4月に全国で初めての県立夜間中学として開校しました。県立であること、単独校であること、定時制課程の徳島中央高等学校の敷地内に設置されたことなどに興味をひかれ、開校前に2度訪問させていただき、入学式にも参加させていただいた思い出深い学校です。校歌もとても素敵。ネット上で是非聴いてみてください。
27日の学習者は、小学生6人、中高生4人、社会人6人でした。。そのうち15人がネパール、インド、バングラデシュ国籍等の外国人でした。学習者を応援するスタッフは学習者を上回る人数が集まりました。これまで、基本的に一人ひとりの学習ニーズに寄り添うマンツーマン形式での応援が可能になっています。年齢も国籍も多様な人々が学び交流する多文化共生的な自主夜間中学は、スタッフ一人ひとりがその人らしさを発揮できる場にもなっていると感じています。
東京都の自治体専門誌である「都政新報」に「『学びたい』外国人に寄り添い応援 自主夜間中学~誰でも、いつからでも、いつまでも」と題する文章を寄稿しました。添付しますので、是非、ご覧ください。
今回カバリェロ優子さんがメッセージを書いてくれました。そして、中高生教室の学習風景が詳細に紹介されています。自分も「無季俳句」に一部参加しましたが、とても楽しい雰囲気での学習でした。ちなみに、「雨のなか 旅の途中で つぶやいた」は自分の作品で、この後に続く言葉は、「雨雨ふれふれ もっとふれ 私のいいひと つれて来い」です!!(田巻松雄)
カバリェロ 優子「学ぶことを楽しんでいる!の瞬間」
自主夜間中学の存在を知ったのは、職場での「科学研究費助成金申請書作成支援メンター制度」として田巻松雄代表がメンターになってくださった時に活動に誘われたことがきっかけでした。初めは、大変お世話になったのでという気持ちでしたが、今では、宇都宮自主夜間中学校、宇都宮大学での多様な学び教室、とちぎ蔵の街自主夜間中学すべてに可能な限り参加しています。
今回は、日本に来られて数年経っていますが、日本語の日常会話がまだ難しい30歳前後のインド人の学習者と一緒にテキストを使って日本語を学習しました。彼は、私たちボランティアがテキストを読んで説明するとすぐに、出てきた単語を日常生活で活用できるように、自分でシチュエーションを考えて繰り返し練習するという、自ら学ぼうという熱心さがとても印象的でした。「楽しい」という日本語が出てきた時に、現在形を使って「私は、今日本語を学ぶことを楽しんでいる!」と言ってくれたことが何よりうれしく、学びを通して心が通じたような感動の瞬間でした。私が、学習ボランティアをさせていただいている理由は、このような心躍る楽しい瞬間があって、自分自身も学ばせていただいているからなんだろうと考えています。とちぎ蔵の街楽習館の名前にふさわしい学習の場があることは、学習者にとってもボランティアにとっても幸せなことだと思いました。

無季俳句で遊ぼう!(4/27の学習風景紹介)
この日の中高生室の学習者は4名。
当方が担当した学習内容を紹介します。(ベンガル語話者。日本語・英語でのコミュニケーション可能。)
1時間めは中3数学の証明問題。文章化する前の考え方を図解するも、日本語で証明文を書くのはハードルが高かった模様。証明文と図解メモとが、どのように対応しているかを説明。
2時間めは「遺伝の法則」授業プリントの内容翻訳。
スタッフSさんに和英辞典を借りて四苦八苦しているところにスタッフKさんが通りかかったので、すかさず引き込ませていただきました。

で、ラッキーなことに20分余裕ができたので、中学校の学習日誌記入のサポート。
残り時間は「57577」なるカードゲームで無季俳句実作。
五音・七音の単語カードを並べ、入れ替えているうちに奇想天外な俳句・短歌が現出します。
(以下、作品紹介 + ひとことコメント。)
◯ こっそりと カニが食べたい ハイタッチ! ※ なに あの二人、急に腕組んで出かけちゃったけど?
◯ 遅刻して タイムマシンで かくれんぼ ※ せっかくの利器の使い道をまちがってるよね、ゼッタイ!
◯ 仕方なく「違いますわよ」手をつなぎ ※ 間違いない、この娘はツンデレ。
◯ 月曜日 二匹のネコが いとエモし ※ ユーウツな朝の通学路も一変。(「エモい」:グッとくる)
◯ 目が合えば 夏のはじまり 待ち合わせ ※ 目配せはヤンチャな二人の、イタズラ開始の符丁。
(さまざまな場面への「誤読」を誘発させるのも、俳句ならではの醍醐味。)
◯ ドラゴンと どこかの星へ。/とけていく
※ カードの語句に縛られる必要はないので、「ドラゴンに」を改変。
二句めに句切れを置きたいので、「。」も追加。「夢の中」「宇宙の果て」へと溶けていく。
◯ 「話してよ、世界征服。グッドです!」 ※ ど、どうやって私の野望を嗅ぎつけたの? しかも、肯定するって???
◯ 泣きながら 海を見ながら 雪まみれ ※ 赤い鼻も眼も、髪もグジュグジュ。でもヒサンすぎる自分を、逆に笑ってそう。
◯ 姫君と 君と出会った ぼくたちは ※ なんか、ファンタジーが始まるな、これは!
◯ どっか~ん! バナナを食べて ペンギンも ※ えぇ〜。イワトビペンギンの頭には、そんな理由が!
◯ ラブチャンス カモンベイベー でも私、 ※ もうっ! 焦れったいな、見てらんない!チョコ渡すのは、今だってば!(句末に読点を置いたあたり、現代俳句っぽい。)
(学習者Sさん作。一部、Kさん合作。)
おまけ。(スタッフTさん作) 雨のなか旅の途中でつぶやいた
※ 心寂しくなって 口を衝いて出た言葉は きっと、「ク◯タ (蔵の街校 公式マスコット) ……」。




